長谷川正徳のちょっといい話

第5話 良い人間関係をつくる「会話のコツ」

良い人間関係をつくる「会話のコツ」 挿絵

 こんな話がある。
 寒い日、彼をにくからず思っている彼女が彼に声をかけた。

「お寒うございます・・・」

すると彼は

「ええそうですね」

ポツリと、これだけ。
これではとりつくしまもない。
彼の友人が、

「あんな時はアイソの一つも言うもんだ。山は雪でしょう、とかなんとか…」

と入れ知恵をした。
次の日、彼女と会ったとき、彼女は、

「今日は暖かいですね」

と話しかけた。
彼はペースを乱されてドキマギし、

「…ええ、山は火事でしょう」

と答えた。
 あなたはこの二人の会話のなかに、ふとおかしくも暖かい人間的なものを感じるであろう。

 ドイツの哲学者ニーチェが、

「結婚のたのしみは夫婦の間に交わされる会話にある。墓場までつづく長い会話である。だから結婚するときは、この人とならば楽しいおしゃべりが末長くつづけられそうだとおもったら、結婚したまえ」

と言っている。
 この言葉は私たちの生活に、毎日毎日の会話がいかに重要な役割を果たしているかをよくあらわしている。

 あなたの会話をよくしてゆくポイントは、まず“肯定的”にということ。
相手の存在を否定しない、相手を受け入れる態度が大切である。
 第二に“明るく”ということ。
あなた自身の考え方を明るくする、そして表現そのものを明るくすることである。
 そして最後に“正しく”ということ。
良い人間関係はお互いの信頼の上に立っている。
信頼できない言葉や不正確であいまいな表現がよい人間関係を作るはずがない。

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