長谷川正徳のちょっといい話

第43話 老後の真の頼りは何か

老後の真の頼りは何か 挿絵

 総務庁は「老人の生活と意識に関する国際比較調査」の結果を発表した。
それによると、老人にとって「一番大切なもの」は「家族・子供」という点では各国共通。
だが、「2番目に大切なもの」で、日本は「財産」との回答がトップで、「友人・仲間」や「宗教・信仰」とする欧米と比較し、大きな違いがあることがわかった。

 調査は日本、韓国、米国、英国、ドイツで、各国とも60歳以上の男女約4000人を対象に個別面接方式で実施した。
「一番大切なもの」として各国とも8割前後の人が「家族・子供」と回答したが、「2番目」では日本の37.1%の人が「財産」を挙げている。
日本の老人の財産志向が非常に強いことをうかがわせている。
これに対し、米国の「2番目」は「宗教・信仰」であって、37.3%であり、「財産」と答えたのは、7.2%に過ぎなかった。
英国やドイツでも「財産」と答えた人は少なかった。

 ところが、一番大切なものとする「子供」に対し、絶対信頼できるかというと、米国、英国では「信頼できる」と答えた老人が過半数を大きく上回っているのに対し、日本では2割に及ばない。
「家族・子供」を一番大切なものと思っていても、その子供が将来あてになるかどうかを危惧している老人が大部分だという結果である。

 金・金・金とひたすら経済発展に参加したのが、今の老人であるが、今からでも遅くはない。
道を求め、聞法に残りの生涯をかけるという覚悟を新たにするべきであろう。
安んじて死に近づく道はこれ以外には全くない。

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