長谷川正徳のちょっといい話

第48話 生きがいとは

生きがいとは 挿絵

 高齢社会といわれるいま、しきりに"生きがい"ということがいわれています。
ところが、この言葉が大変軽々しく使われているように思います。
なにかにつけて抽象的に"生きがい"といいますが、生きがいというのは、"人生の目的"をはっきり設定していて、それに向かって努力し、精進している状態を指しているのであって、生きがいだけがそこら辺りに転がっているというものではありません。

 動物園に飼われている、たとえば猿や熊などよりも、サーカスに出ている猿や熊のほうが病気にかかることも少なく、しかも長生きするのだそうです。
サーカスの動物は、与えられた目的であるにせよ、跳んだり跳ねたりリズムをとったりします。
ところが、動物園の檻に飼われている動物はただ餌を食べて文字どおり「生きている」だけなのです。

 よくストレスがたまるといけないと言われますが、"しなければならない" 努力や目的などという前向きのストレスはむしろ大変必要なものなのです。
病気になるようなストレスを体験しながらもなぜ病気にかからないでいられるかを考える学問をロゴセラピー(実在分析)といいます。
厳寒中、素っ裸で滝に打たれて修行する信仰者は決して風邪など引きません。
いやいや滝に入ったら、とたんに風邪をひいてしまいます。
求めたストレスでは人間は病気にならないのです。

 文学者セヴィニエ夫人は「心に皺はない」といっています。
いくつになっても顔の皺は増えても、明日に目的を定めてそれに向かって努力しようではありませんか。

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