長谷川正徳のちょっといい話

第84話 恐るべき麻原彰晃の救世主妄想

恐るべき麻原彰晃の救世主妄想 挿絵

 キリスト教の歴史の中には、異端者を神の名において虐殺したといった事件が数多くあったが、仏教の名においてオーム真理教が行ったような事件は歴史的に絶対なかったのである。

 ほんとうの仏教からはこんな残虐きわまりない無差別殺人を肯定するような教理など絶対出てくるはずがない。

 とすれば、オームは原始仏教の経典をパーリ語から翻訳したり、教団の中で仏教用語を盛んに振り回してはいたが、全く仏教ではないと断ぜざるを得ない。

 麻原は新約聖書を全部読んだと称し、その新約聖書全体がこの麻原を救世主と予言しているとうそぶいている。

 そして彼は「ヨハネ黙示録」からハルマゲドンの到来を本気で信じ、ハルマゲドンを機に麻原自身が世界の救世主となることを、ノストラダムスの大予言はちゃんと予言しているなどと妄想をまくしたてている。

 こんなバカげた救世主妄想を、真のキリスト者は断じて許しはしない。

 ここまでくると、もう麻原は精神病的反応者の領域に入っているとしか思えない。

 立花隆氏によると、救世主妄想という精神障害者は、どこの精神病院にも1人や2人はいるとのこと。

 しかし麻原は、決して言うところの精神病ではない。

 それにしても、1人の人間の狂気と、狂信としか言えない教えが、数多くの信者をつくってしまったという現実に、日本の社会の病理の深さを思い知らされると同時に、正統の仏教と仏教教団の奮起を願わずにおれない。

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