長谷川正徳のちょっといい話

第91話 一度きりの人生

一度きりの人生 挿絵

 秋のお彼岸がやってまいります。そこでお彼岸にちなんで私たちの人生をふり返ってみましょう。

 「もし、もう一度この人生をやり直すことができたら、今よりもう少しましな生き方をするのだがなぁ…」とは誰もが一度は考えることかもしれません。

 「学生の頃、なぜもっと勉強しなかったのだろう」、「どうしてもっと健康に注意しなかったのかしら」、「なぜお金を貯めなかったのだろう」なんて…。そして多くの人が「もしもう一度人生をやり直せたら、もっと幸せな生き方をするだろうに」と信じているようです。

 しかし、こういう考えは夢であって、実際には何の役にも立ちません。人生はくり返すことなどできないもの、過去は過ぎ去って、もう帰っては来ないのです。

 私たちにあるのは明日という日です。大切なのは未来なのです。未来は、過去にし足りなかった点を補ってくれる絶好のチャンスではないでしょうか。

 学校に通っていた頃に不勉強だったと思う人には、まだ学ぶ機会はいくらでもあります。若い頃、健康についてあまり考えず、またお金を無駄に使ったと思う人なら、今日からさっそく、そうしたことに気をつけて努力したらどうでしょうか。

 以前、人をだましたり、ウソをついたり、思いやりに欠けた振舞いをしたのなら一心に懺悔してこれからさき、それを償うことも可能なはずです。

 私たちは、過去をもう一度くり返すことはできませんが、反省と懺悔をして、今後の努力を誓うことは十分に可能です。これもお彼岸の大切なつとめの一つでしょう。

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