長谷川正徳のちょっといい話

第92話 彼岸の里

彼岸の里 挿絵

 秋のお彼岸がやってまいります。そこでお彼岸にちなんで私たちの人生をふり返ってみましょう。

 「心暗きときは 即ち 遇う処 悉く禍なり 眼あきらかなるときは 途に觸れて 皆宝なり」

 9月は彼岸の月、実りの秋でございます。今年の夏は長雨、西の乾天と続き心の落ち着かない日々でした。

 私達人間は、心の中に何か一つのこだわりを持ちますと、そのこだわりから次々と妄想を生み出し、自らを闇い世界に閉じ込めます。

 この頃のような長雨から一転して青空を仰いだ時の喜びそれと同じように心のこだわりから開放された時の姿は、忽ち明るさを取り戻します。

 四苦八苦(生・老・病・苦・愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦)の此岸(迷いの現実世界)の中に生かされている私達は、この苦を乗り越え彼岸(目覚めた人間の世界)の里に到達するよう、互いに手を取り合わねばなりません。

 彼岸の里は此岸の里と裏表です。この里はいつも私達の小さな体の胸の中、心の中に存在します。

 この彼岸会の機会に心の中の智慧袋を開いてみませんか。えてしてこの袋を閉ざし、外に仕合わせを求めている時が多いものです。

 彼岸の里より此岸の里にいたるには、日々の人生を大切に、この智慧袋の奥にある仏の智慧、生活の智慧を明るく楽しく躍動させることです。心の眼(智慧袋)が開かれればすばらしい彼岸の里は早やそこに訪れています。

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