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第10話  苦−ご都合通り−


挿し絵    暖かい日の翌日、急に気温が下がると
「住職さん。こう急に寒くなったんじゃ、かなわねえよな」
と玄関で言うオヤジさんがいます。その時にはこう返します。
「そりゃ、旦那のご都合通りにはいかないよ」

   仏教は、私たちがどうやって生きてたら、「苦しみ」のない、心安らかな暮らしができるだろうか――というのがスタートだし、ゴールでもあります。
   で、考えた結果、まず苦の定義をしっかりしましょう、ということになり、「考えてみればさ、おれ達が苦と感じるのは自分のご都合通りにならないことだよね」と、そりゃそうだ、としか言えないところへ行き着きました。
   つまり「苦」=「ご都合通りにならないこと」なんです。そう考えるから、四苦(生老病死)の中に生(生まれる方です。生きる方じゃありません)が入るんです。
   どんな親の間に、いつの時代、何番目の子として、男か女に生まれることは、私たちのご都合以前のことだからです。

   世の中には自分の努力や人の助けを借りて、ご都合通りになることもありますが、天気や、生理現象などは私のご都合以前のこと。ご都合通りという道ばかり歩ける筈がないのに、腹を立てたりする人(腹が出ている意ではない)がいますが、何だか余計なエネルギーを使ってるなという気がします。

   次回は「関係ねえよ」で発信します。
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