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第37話  悩みを解決しようとする人よりも


挿し絵   今回も頂戴したお題をもとに話を進めていきます。

  8年ほどまえに、お坊さん向けの「ウツ病」の勉強会に出たことがあります。社会でウツ病が問題になり始めた頃でした。そうでないと、ウツ病の人を単に「暗い性格」くらいに思って、「もっと明るくしましょうよ!」なんて、ウルトラ(とっても、の意)無責任な言い方をするお坊さんが出現するからです。
  何でもない人が楽しくテレビを見て過ごす一時間は、ご本人にとって、自己嫌悪と、無気力感にさいなまれ続ける苦悩の60×60秒。そのことを周囲の人が理解をしてあげることがとても大切なことだといいます。
  私の好きな言葉に「悩みをなくそうと努力する人は多いが、悩んでいけるようになりましたと言える人に心ひかれるものがある」というのがあります。悩んでいる今の自分をそのまま受け入れる勇気と、それを表現できる心の素直さに心ひかれるということでしょう。
  私はまだ45年しか生きてませんが、自分を分かろうとしてくれている人がいる……それだけで、生きる勇気が出てきます。私もいつか、悩んでいる人にそんな勇気を出してもらえるような人になれればいいな、と思います(相当な思い上がりですね)。

  ちなみに先の講習会で「私は二日酔いの朝、自己嫌悪にさいなまれてウツになるのですが……」と言ったら、講師のお医者さんは笑いながら「ああ、それは正常です」だって。

  次回は「お経料って書かないで!」です。「お経料」は坊さんをダメにするかもよ……。
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