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第56話  小学生に供養をどう説明する?


挿し絵    久しぶりに森さんからリクエストが来ました。「供養ってなに?誰のためにするの?先祖?自分?」というコメントが付されています。そこで、まず供養から。

   両親とおばあちゃんと、お墓参りにきた3年生の男の子が、いきなり私に言いました。
「お坊さん、供養ってなに?」
私はその子の隣にいた大人たちを見た。そして思った。
――自分で答えられなかったから、こっちへ回したな――。
そして、私はあらためてギクリ!としました。俺は、小学生に分かるように“供養”を説明できないじゃないか!
「……ちょっと、待っててね」
と言い残し、あわてて住職室の本棚へ。とりあえず手にとった辞書を見て、どれ程、身の程、なーるほど。
“供養とはもてなすこと”と見つけたり!
玄関にもどりながら、大きな声で言った(怒鳴るとは違います)。
「あのね、供養って、おもてなしっていうことだよ」
男の子はポカンとした。
シマッタ!“おもてなし”でも小学生には分からないじゃないか!
「お友達が遊びに来るでしょ。その時に、飲み物は何にしようか、お菓子はどうしようか、部屋は片づいているか、へんな匂いはしないかって考えるでしょ。そのお友達のために」
「うん」
「それを“もてなし”っていうんだ。ふつう相手がいるから、丁寧に“お”をつけるんだけど、仏さまや、ご先祖さまにおもてなしをすることを供養っていうんだよ。
君はこれから、お墓へ行ってお線香あげるだろ。つまり、いい香りをおもてなしするんだ。それから、僕も一生懸命がんばりますって報告する、それも心のおもてなしになるんだよ」
その子は、隣にいたお母さんを見上げて言った。
「そうなんだって、お母さん」
するとお母さんはニヤリとしながら言った。
「ありがとうございます」
とても愉快なひとときだった。

   ごめんなさい。“誰のため”という核心にふれないうちに終わってしまいました。
来週もこの続き。白雪さんからも「お経は誰のため?」という質問がきたから、それにも触れながら、原稿書きます、汗もかきかき、恥をかく。ふーっ(;^ε^A

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