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第59話  世間では、一般的に……


挿し絵    順司さんから「一般的に、社会的に、世間では」にどこまで信憑性があるんだろう……というリクエストがきました。

   自分では一般的な世間の常識を心得ているつもりで、つい「まあ、一般的に厄年は節分までですよ」なんて言うくせに、逆に「普通、人さまの家に行く時は、手ぶらじゃ行かないでしょ!」なんて注意されると、馬鹿にされたような気になって、「普通ってどういう意味さ!」なんて、逆ギレしたくなる時がある(これに似たのに“有名”があります。「これって有名だよ。知らないの?みんな知ってるよ」「俺が知らないんだから、有名じゃないんだよ」的会話もよくやります)。

   さて、時には“さま”がつくほど権威がある“世間”という言葉ですが、これがなんと、仏教語なんです。そして、もともとの意味ではサマがつくほど立派なものじゃない。“世”は流れる、移り変わること、“間”は中という意味で、流れてとどまらない現象世界のことなんです。刻一刻と変化して止まないのに、何かに執着してしまう煩悩の世界だから、迷いの世界のことでもあります。
   だから、一般的にはとか、世間じゃという言葉に(自分が社会の成員である一人として、ある程度考慮する必要はあるにせよ)、絶対の信憑性(信頼性)があるとは思えません。

   ちなみに、出世は、もともと出世間という言葉で、悟りを開いた仏さまが世間に出て、人びとを救うことをいいます。他人を蹴落として役職が上がることじゃありません。

   今回は、いい題をいただいた。今年は「一般的には」と言いたくなったら「一般的には××ですが、本当は……」と言うようにしよぉ〜と!

   次回は「何であなたがやらなきゃならないの!」でいきます。自分らしさ探している方、一緒に考えましょう。
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