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第65話  採用最終合格の基準


挿し絵    2年前から毎月1回、密蔵院で、午後7時からやっている「村上正行さんの話の寺子屋」――この村上さんはNHKからニッポン放送(現在フジサンケイグループの親玉)開局と同時に移籍。以後ニッポン放送で定年まで過ごされて、今年80歳になられる。数ある村上さんのいい話は折にふれご紹介させていただいているが、今回は新人アナウンサーの最終合格の秘密を暴露させていただくことにする。

   何千人もの応募の中から、書類選考で選ばれ、筆記試験に挑み、数がどんどん絞られていくアナウンサー志望の人々。最終選考に残る人たちは、もうほとんど実力的には誰を採用しても変わりはない。
それなら、ここからは運が左右する世界と思われるかもしれないが、ところがどっこい、そうはいかない。
最終の面接で、選考員は何を見るか?それは、失敗した時なのだそうだ。
原稿読みでも、質問に対する答えでもいい、人は間違いや失敗した時に、本性が出る。そこを見逃さない、というより、そこばかりを見ているのだそうだ。
ニュース原稿を読み間違える……その時にふとかいま見せる人を寄せつけない冷たく険しい表情。こういう人は落ちる。合格するのは、失敗した時でも、周囲を明るくしてしまう若さと明るさを持っている人だ。
NG特集でやっているアナウンサーのハプニング集も、そんな最終選考を通った人だから、視聴者は明るく笑えるのだろう。

   “人は、話の内容よりも、話し手の人柄を、話し方や内容でみているんです”という村上さん。
なるほど、どこの局でもやっている天気予報は、キャスターの人柄でチャンネルを合わせている自分に気づく。
生んでもらった、そしていま地球の大勢の人、生き物と一緒に、助け、助けられながら生きている……まずはそのデッカイ広がりと、あるがままの幸せの上にドッカと腰を据えて、本性は仏と同じなんだと気づきたいものです。

   さて次回は、冷たく険しい表情で思い出した、村上さんの話からもう一つ。
「公衆便所に裸足で入るような話し方」でいきます。
自分の話し方はこれでいいと思っている方、ご一読くださいませ。
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