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第74話  皆に好かれる人よりも…


挿し絵  4月1日に、東京のお寺さんが経営している幼稚園、保育園の新任の先生たちの研修会で、講演と写仏実技の講師を勤めた。

 写仏というのは、仏さまを和紙にトレースするひとつの修行だ。
しっかりしたものを描こうとすれば、普通で2時間かかる。つまり2時間も一つのこと(線をなぞること)に集中していられる。
写し終わる頃には心の中に描いた仏さまがインプットされて、皆優しい眼になる。
しかし、当日はそんな時間はないし、描いた紙を家に持って帰っても始末にこまる。そこで簡単な可愛い仏さまを描いてもらって、額に入れてお土産がわりにしてもらう企画をした。

 どんな完成品になるかを見てもらうために、30種類ほどを描いて額に入れて部屋の隅に陳列した(その多くが、このコーナーでお題をいただいた方に差し上げているような言葉入だ)。研修会では“私の字でよければ、お好きな言葉を皆さんの写仏に書きますヨ”と恥ずかしげもなく言った。
そうしたら、80名の参加者のうち70名くらいの方が、筆を持つ私の前に行列。終了時間が30分ものびる結果となってしまった。

 言葉のリクエストで最も多かったのが

“皆に好かれる 人よりも 皆を好きに なれる人”

だった(20人ほどの人が、この言葉がいいと言った)。
実はこの言葉は、外国の童話からいただいたものだ。

 あるお母さんに子供が生まれた。お母さんは神さまにお願いする。
「どうか、この子が誰からも好かれる子になりますように」と。
そして、神はそれを聞き届ける。しかし、何をしても皆から好かれる子供は、どんどん我が儘になっていく。
ある時、母は気づく。
「私の願いが間違っていました。どうか、この子が誰をも好きになれる人にしてやってください」と。
その子はそれから、みんなを好きになれる素晴らしい人になったという話である。

 他からどう見られるか気にする人は多い。そのために、自分をいつわる人もいる。そんなことをせずに、こちらが心を開いてしまえばいいのだと思う。開け、心の 曼荼羅だ!
次回は“こどもの日”がらみで、2回に分けて「勘違い親孝行」でいきます。親孝行できなかったと思っている人必読です。

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