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第100話  ほら、あなたの隣にも


挿し絵
イラスト:名取先生
 おお、記念すべき、100回目だぁ!そこで、今回はみなさんのおかげでここまできたので、質問に答える形で進めます。福岡の高鍋さんから「仏教で33って数字をよく見るけど、どんな意味があるの?」という質問をいただきました。では、始まり、始まりィ〜。

 日本で、宗派に関係なく、よく読まれるお経に般若心経と観音経があります。33という数字の答えは、後者の観音経にあるんです。
この中で、無尽意むじんに菩薩が、お釈迦さまに尋ねます。
“お釈迦さま、観音さまは一体どうやって私たちの世界で、説法し、人々を悟りへ導いてくれるのですか?”
お釈迦さまは答えます。
“それはね。仏さまの姿がいい場合は仏さまの姿になるし、修行者の姿が最適だと思えばその姿で説法する。他にもね……”
 この例が、仏さまに準ずる姿が3種。
帝釈天などの神さまが6種。
王さまやお坊さん、子どもなど人間が15種。
龍などの仏教を守る生き物が8種。
そして、仁王さまの姿。
……で、合計33の姿にヘンシ〜ン!して人々を救ってくれるんだよ、というクダリがあります。

 考えてみれば、2桁の数字で最初の素数は11。そして1桁の中で、最初のものごとが安定する数が3(よく3大メーカーとか、3大名所なんて言うでしょ)。両方とも不思議な数字として(おそらく世界的に)考えられているので、これをかけ算した11×3=33はパワーがありそうな数ということになるんだねえ(日本語の語呂合わせで“散々”なんてぇのは、この際、無視します)。

 ここから、観音さまのまつられているお寺をまわる数が33になって、西国三十三観音霊場になり、西国に対して関東で板東三十三観音霊場が制定され、きりのいいところで、100にしようと、秩父に三十四観音霊場ができた(これをまわることを百観音と言います)。
また、観音さまの大きさも3丈3尺のものなど33にちなんだ寸法で作られ、それにちなんで、三十三間堂みたいにお堂の長さも33間にしよう!と観音さまのご利益を顕現化する方法がとられることと、相成ります……ベ、ベン、ベンベン……

 もとより、33というのは、たくさんということ。私は、今の自分にとっていい影響を与えてくれた人(いい人だけじゃない、ああいう人にはなるのはよそうと私に思わせてくれた人も含めて)を、“あの人は今日の私にとって、観音さまだったな”と思うことが年に20回くらいあります。本当は毎日、何人もの観音さまが隣にいるはずなのにねえ、それにこちらが気がつかない。ああ、情けない……。南無観世音菩薩。

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