ちょっといい話

第108話 人生スカラカチャンといきたいね

挿し絵  まずもって、このタイトルの“スカラカチャン”だが、ほんとうは“スチャラカチャン” で、なんでも阿保陀羅経の調子のことらしい。そのアホダラ経とは――経文の訓読の真似をして作ったこっけいな俗謡。俗語で時事などを風刺した文句を、小型の木魚二つを打ち合わせ調子をとりながらうたう。江戸時代の中ごろに流行した(広辞林)――とのこと。。
乞食坊主の格好でやる一つの芸らしいのだが、浪曲がもともと坊さんの節談ふしだん説教からきていることから考えても、もとは坊さんがギター侍みたいに世俗の矛盾を軽妙な調子で風刺したものだったのではないか、つまり元祖パーカッション坊主だ(…とこれは、坊主が屏風に上手に自由な発想かつ推論です)。
現在でも歌舞伎や落語の中で聞くことができるらしいが、私は聞いたことがないのでゴメンナサイである。しかし、その解説とスチャラカチャンという語調から、何でも、楽しんじゃえ的軽いノリなんだろうなと思う。加えて今回お題をくれた“都鳥さん”は「人生、楽しくいきたいもんですよね」というメッセージを込めてのリクエストだと拝察。そこで……

♪♪何を食べよか相談すれば
 わたしゃ何でもいただきますと
 決めておでんはいかがと問えば
 それはちょっと……としかめ面
 何でもいいと言ったじゃないか

♪♪寒い時には寒いとグチる
 そういうあなたは 梅雨あけ早々
 誰より早く 暑い!とこぼす
 どんなことにもグチばかり

♪♪しあわせは いつも三月花の頃
 お前十九でわしゃ二十歳
 死なぬ子三人親孝行
 使って減らぬ金百両
 死んでも命がありますように
(古歌より)

 以上、わがままではスチャカラチャンとは生きていけないという一席であります。次回は軽いノリつながりで、“石橋の向う側”でいきます。叩かないで渡る人この指と〜まれ。