ちょっといい話

第110話 そこのけ、そこのけ、個性が通る

挿し絵  今回は埼玉の蒲生の小僧さんからのメールに反応してまいります。
 メールはこんな内容――子供たちは小さい頃は正義のヒーローをかっこいいと真似をするけど、中学生頃になると不良っぽい漫画などの主人公にあこがれる。女の子の好きなタイプも、子供の頃はスポーツと勉強がでる子がもてるのに、大人になると、ちょっとクールな感じの人がいいとか、良く聞きます。これはどうしてだろうか……

 うーん、なるほど。
わが身を振り返ってもそういう傾向はあったように思います。勉強でも運動でもキッチリしていることへの反発なんでしょうか。大雑把なとらえ方をしてしまえば、思春期という言葉に代表される現象なんでしょう。
この思春期特有の現象や考え方、対処法は、小児科医の北島晴夫先生がやっている「あいあいキッズクリニック」HPの“思春期ブルー研究所”がとても分かりやすく、丁寧に説明してくれていますので、子育て真っ最中の方は是非ご一読を。

 さて、他の人とは違うという自我に目覚め、個性が出てくる。ここ20年くらいはこの個性をのばす教育が声高に叫ばれていますけど、なんでも“個性”で許すのは問題があります。人の迷惑を考えないのがこの子の個性だとか、すぐにいじけて開き直るのがうちの子の個性なんていうのは、軌道修正すべき悪い個性だと思います。

 大人だって他の人と違ったことをして自分をアピールする場合があります(何を隠そう、私が周囲からそう言われます)。しかし、他と比較して変わった格好や面白いことをしても、本心から納得などできるものではありません。いわんや他の人を納得などさせられないでしょう。毎度精神論になって恐縮ですが、精神的にどんな人になりたいのか、志をもって、自分のやりたいことを、やらなきゃいけないことをやっていけば大丈夫ですよ。但しこれらを考える時には、心を静かにすると効果絶大であります。仏教でも智恵を得るには心静めろと説きます。

 次回は“やるべきこと”つながりで、“困ってるんです”でいきます。この1月に、ヌードとお経のコラボレーション話が生んだ、どんでん返し連続の人生模様です。