ちょっといい話

第192話 人間性と学歴??

挿し絵 今回リクエストをくださった鹿児島の“みぃ”さんは受験生を持つお母さん。お嬢さんはあまり勉強熱心ではないけれど、性格はやさしくていい娘だそうです(母親の温かい眼差しを感じます)。でも……、
“どんなに いい人♪ でも、成績重視の学校には行けず、結果、就職先にもなかなかめぐまれないのでは...なんて親は心配したりして” と付記があります。
 このページで一般論を書いても意味がないでしょうし、それは“みい”さんもわかっておいででしょうから触れません。だから、私のことを書きます。
 私は子供が3人。長男大学4年。次男大学2年。娘高校3年です。勉強好きはおろか、親からしてみれば勉強しなくてはいけないのにしない子ばかりです。
 長男は、高校生の頃からお坊さんになると決めていたようです。私にそんなつもりはなくても、檀家さんたちが「あなたが後を継いでくれるんだね。がんばってね」と彼が小さいころから洗脳(?)してくれた影響かもしれません。
 次男には高校生の時こんな言い方をしました。
「35歳の自分を想像してごらんよ。どんな所に住んでる?結婚してる?子供は何人いる?毎日何時頃帰宅できる?休日に何してる?」
 それなりに具体的な返事が返ってきたのを覚えています。
「だからさ、そのために今やることをやるんだよ」
それ以来彼に、勉強しろと言ったことはありません。
末っ子の娘には中学の時以来、事あるごとに言い続けているセリフがあります。
「今、勉強しておくと、将来お前ができる、あるいはなれる職業の選択肢がぐーんと増えるんだよ。やらないと、今の社会ではドンドン選択肢が減ってくるんだ」

  *    *    *    *    *    *

確かに、学生のうちに勉強しないと将来いい就職口が見つからないかもしれません。しかし、その時に自棄(やけ)になったり、人を恨んだり、うらやましがったりするマイナスの心がムクムク頭をもちあげないように、豊かな心の持ち主になっていてくれたらいいなと思います。そのためには、ニッコリ笑って「勉強しておいたほうがいいと思うよ〜ん」などと茶目っ気タップリにどうぞ。
 そして、最近になって思うのは、昔から言われている言葉(ほんとど浪曲からのものですが)。

  「親の意見とナスビの花は、万に一つも無駄がない」
  「親の意見と昼間の酒は、あとになるほど効いてくる」

―――本当だなと思います。だから、親の温かい目で見ていれば、子供に何を言っても大丈夫ですよ。
 さて次回は、ずいぶん前に四街道の“怪人123”さんからいただいたお題“今夜は静かだね”でいきます。仏教で大切な心の状態――禅定(ぜんじょう)についてのお話になるでしょう。いつもハイテンションの方、ご一読を。