佐藤俊明のちょっといい話

第38話 ギャーテーギャーテー

ギャーテーギャーテー  挿絵

 『般若心経』は、心の捉われをなくする教えであります。
捉われがある限り心の休まることはありません。捉われなきところに真の自由があらわれるのです。
 良寛様は、地震に遭って見舞の手紙を貰った時、その返事に
「災難に遭う時は災難に遭うがよく候。死ぬる時節は死ぬるがよく候。これはこれ災難を遁るる妙法にて候」
と結んでおりますが、災難や死に直面しても捉われるところがない。取捨分別に右往左往しない。まことにさわやかにして無礙自在の心境であります。このように心の捉われがなくなれば、苦しみ、悩みはおのずから消滅するのであります。

 そこで『般若心経』は否定的表現を縦横無尽に駆使して私どもの分別意識を徹底的に打破するのであります。そして最後にその悟りの智慧、般若の心を呪文によって結んでおります。

 ギャーテー、ギャーテー、ハーラーギャーテー、ハラソーギャーテー、ボージーソワカ
ゆきましょう、ゆきましょう、捉われなき世界へ、素晴らしいところへ、ひとり残らずゆきましょう、悟りよ幸あれ。
という意味ですが、呪文ですから「ギャーテー、ギャーテー・・・」と原語で呪えたほうがよろしゅうございます。
短いのでこれならすぐ暗誦できますし、いつでも、どこでも呪えられますので、これを呪えて捉われのない無礙自在の世界に遊びましょう。『般若心経』をお読みいただければなおさら結構です。

前の法話
佐藤俊明のちょっといい話 法話一覧に戻る
法話図書館トップに戻る