佐藤俊明のちょっといい話

第79話 ボケ防止

ボケ防止 挿絵

 人間の脳細胞は140億個といわれるが、20歳を過ぎると1日10万個ずつ死滅してゆくという。したがって50歳になると10億個が死滅してしまう計算になる。

 さて、人間の脳細胞140億個のうち、実際にはたらいているのは40億個だけだそうなので、50歳になると1/4が死んでしまうわけ。
 しかし、常に新しい情報を取り入れ、新しい考えや記憶をつくると、眠っていた100億個の細胞が目を覚まして、1日10万個以上がはたらき出すという。
したがって、1日に10万個が死滅しても、それ以上が目を覚まして余りが出れば、ボケるどころか進歩する人になることができる。

 これは動物園のサルの島の話だが、ボスのサルがあんまり他のサルたちをいじめたり、食物を取り上げたりするので、そのボスザルをほかの場所に移した。
すると多くのサルたちはのんびりし過ぎて運動不足になり、食べ過ぎて病気になり、次々に死んでいったという。

 これは私ども人間にとっても考えさせられる話で、昔から「艱難、汝を玉にす」といわれ、「人間、苦労しなくちゃダメだ」と教えられてきたように、困難に遭遇して、これを克服する勇気と努力こそ、生きるための必須条件であると同時に、生き甲斐の源泉でもあるのである。

 このごろボケ老人のことがよく話題にのぼる。
 これは生活が豊かになって苦労が少なくなったことに無関係ではないように思う。

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