佐藤俊明のちょっといい話

第90話 健康の秘訣

健康の秘訣 挿絵

 ウイスキーの「オールド・パー」はトーマス・パーの長寿にあやかってつけられた名前である。
 トーマス・パーは102歳で婦女暴行で捕らえられ、18年間の刑に服し、120歳で出獄して結婚、一人の子供をもうけるという精力絶倫の人だった。
 152歳のとき、イギリス皇帝に招かれ、ご馳走を食べ過ぎたばかりに、まだまだ生きられる寿命を縮めてしまったという。
腹八分目は健康の秘訣である。

 東洋でも「腹八分目、医者いらず」といい、また「頭寒足熱」ともいう。
 頭が冷えるとすっきりして物事を冷静に正しく判断することが出来る。
 逆に頭が熱くなると前後不覚になり取り返しのつかぬ失態を演ずることになりかねない。

 座禅をすると、今、正に眠りにはいろうとするときのように、波長の長いゆるやかな脳波アルファ波が出てくる。アルファ波は普通の場合、眼を開けてるときには出てこないのだが、座禅に習熟すると眼をあけたままでも出てきてなにか刺激があればすぐに反応するが、また2、3秒してもとのアルファ波に還るという。
 これはつまりとらわれのない状態を示すもので、それが座禅によって得られる証拠である。

 今日は刺激が強く、また多い時代で、喧嘩、口論、殺人が断えない。
 それは、逆上して前後不覚になるからである。
 そういう時代であればあるほど、私たちの頭を冷やし安らかな状態におく座禅は健康保持の面からも素晴らしい。

 腹八分目、頭寒足熱は健康のもと。

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