菅野秀浩のちょっといい話

第20話 バーミヤンの大仏破壊

バーミヤンの大仏破壊 挿絵

 世界的な文化遺産であるアフガニスタンのバーミヤンにある仏教遺跡が破壊された。

その模様はテレビや写真でしか伺い知れないが、砂ぼこりを巻き上げた爆破の瞬間は、眼を覆う有り様で、大石仏は全壊と言ってよいほどに無残に腰から下を失っていた。

 イスラム原理主義タリバーンが心酔し絶対法と信じて止まないコーランの偶像崇拝禁止を実践したことによる、愚行・蛮行である。

 このことは、俄に日本の仏教徒には解り得ないが、イスラムにおける偶像崇拝禁止は、彼らが信じる神は、絶対であり唯一(仏教以外はすべての宗教がそうであるが)で、その神と契約することが信仰であることから、自分自身が全く偶像を崇拝しないだけでなく、他の宗教の崇拝対象の偶像の存在も容認できないという、極めて排他的な主張により破壊が実行されるのである。

 しかしこの事実は、ことタリバーンだけの愚行では無い。今世界の各地に勃発する民族紛争(何故マスコミが 宗教紛争 と報道しないのか不思議である。)全てが、同次元の野蛮で愚かな争いなのだ。東西の冷戦が終わり、社会主義が崩壊して尚、いまだ争いが治まらないは、キリスト教やイスラム教、ロシア正教、ユダヤ教などの、絶対唯一の神を信奉する、排他的な狂信の対立に他ならない。

 絶対神をもたない仏教は、大らかで包容力に富み、他と調和し融合しあい、唯一争いを求めない、平和主義の宗教だと断言できる。

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