菅野秀浩のちょっといい話

第23話 映像の嘘Ⅲ

映像の嘘Ⅲ 挿絵

 スティーブン・スピルバーグの「ジュラシック・パーク」や、「ゴジラ」をご覧になっただろうか?

 SFXを駆使する90年代の映画産業は、ハイテク技術革新の企業戦争と言われ、80年代後半から発達したデジタル技術により、CG(コンピュータ・グラフィックス)作品が軒を連ね、ドラマ作品「フォレスト・ガンプ」にも使用されるようにもなった。

 このことは、映画産業のみに止まらず、玩具やゲームにも取り入れられ、世を挙げてCG時代の幕開けとなった。

 テレビゲーム等も、極めて精巧で実際的な、効果の高い成果を上げ、プラティカル・エフェクトといわれる、迫力と凄みを、より求めるようになった。

 こうなると、映像を見る側にとっては、どれが本物で創りものかは、判断する事は容易ではなく、誕生と同時にその映像画面にだけ慣れ親しんだ者にとっては、全てが本物という実感が湧いてくる。ここに映像の嘘を、本当と思い込む故の非情な悲劇が生まれる。

 所謂「十七才の犯罪」の病巣である。

映像の嘘を本当と思い込む妄想は、現実と空想の境がなく、両方の世界が同時に進行し、あたかも実存するごとく、日常に現れる。

 人を殺しても、傷つけても、痛みや血で汚れる事もなく、破壊音さえ効果音に聞こえる。

 暗い部屋で映像を凝視する眼は、妄想と現実を惑わせて、人間とは別の人格を創るのだろうか。

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