菅野秀浩のちょっといい話

第32話 崩壊した人間関係

崩壊した人間関係 挿絵

 現代の社会問題の起因は「こころの荒廃」であると叫ばれて久しい。
多分に被害妄想狂の類い過多で申し訳ないが、この荒廃ぶりは、単に政治や社会、教育の在り方の政策の欠陥を因とするきめつけは、あながち外れではないが、もっと根本的な原点を探れば、1945年8月15日に有ると確信に近い思いをもっている。
それは占領政策の結果がもたらしたものということで、政策すべてに日本の民族性や国民性、生活様式、習慣、依ってきたる人生観、生死観というものを含めて破壊し、新生日本人を創りだすことに目的が有ったと、盲信を抱いているからである。

 だから、戦後の政策や教育の制度は、その政策が結実すればするほど、かつての日本人らしさを失う結果になるといえる。

 このことは、日本のこころであった「より良い人間関係」が、完全に崩壊した現実が事実を証明している。

 「親と子」「教師と生徒」「医師と患者」「家族と老人」「寺と檀家」「男性と女性」など壊れた関係は枚挙に暇ない。

 より良い人間関系の崩壊は、個人の尊重という美名に隠れて、問題を惹起しているのだ。

 かって、日本の心であった、より良い人間関係は、同志の絆がよく回転して、社会問題として、惹起される前に、単純な家庭問題として、周囲の者の手によって、摘み取られ、大らかに解決して来た。

 今、その実態すらも見えず、解決策もない。

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