菅野秀浩のちょっといい話

第38話 今を生きるⅠ

今を生きるⅠ 挿絵

 今様に表現すると、トレンドと言うらしいが、高校生やそれに準ずる若者の行動には、とても危ういものを感じる。

 殊にもう一昔前からの流行か、あのルーズソックスというのも、自分を主張するために、ほんの少数や個人がファッションとしてするのは、とても可愛さがあって良いと思うが、日本国中の女子高生が全て同じでは、異様さを感じざるを得ない。

 曾て、先輩たちは「太陽族」であったし、僕らの時代も「六本木族」「みゆき族」があったが、群れてはいたが、あくまでも個々のファッションを披瀝していたし、逆に他を自分に取り込もうという主張があった。

 だから歴然としたポリシーが有り、無いものは仲間として群れる事もできなかった。

 今、彼らを観察すると、あの群れとファッションは、個性の主張よりも仲間意識の確認で、制服と同じに思える。とにかく同じ格好をしていれば、仲間として認める、仲間外れにしないという仲間意識の基本で、所謂ポリシーも無く、ファッションよりトレンドもシンドロームに近いといえる。

 流行の携帯電話も全く同じで、今別れた相手に掛けるのは、一人になった不安から、とりあえず友達だという確認を、片時もしなくてはいられないのだ。

 独りで育った者が、友を得て、認めあい、思いやりのなかで人間関係を育み、最上の親友を得る、難しい時代なのだろうか?

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