菅野秀浩のちょっといい話

第47話 軍事報復

軍事報復 挿絵

 米国のブッシュ大統領は、今回の卑劣極まりない衝撃の大惨事を、イスラム過激派による同時多発テロと確認し、国内外に表明後、直ちに世界各国の理解と協力を求め、無差別テロの撲滅へ軍事報復の対決姿勢を示した。

 それは、「新しい種類の戦争だ」として、「テロ支援国家が判明すれば、徹底した代償を支払わせる」と言う、極めて徹底した過激な発言で、戦争に発展する可能性をほのめかしたものといえる。

 我々は、米国民の痛みと悲しみの慟哭と忿怒は察してあまりあるし、犠牲となられた方への慰霊は心から捧げるが、二十一世紀の今に「眼には眼を」「やられたら、やり返す」のような過激な判断で、報復に報復を重ねず、犠牲となられた尊い命と怒りを、平和を促す提言と祈りに昇華すべきと願う。

 もとより世界の平和を希う気持ちは誰もが一緒だが、ソ連の共産主義が崩壊後、東西の冷戦は大きな平和への光明をもたらしたかに見えた、つかの間、ヘルツゴビナ、東チモール等、世界の民族間の紛争は絶え間ない。そして背景には必ず宗教や貧困が見え隠れする。

 宗教や貧困がなぜ紛争を呼び起こすのか。不思議でならない。

 宗教と貧困の陰に、戦争による多大な裏ビジネスがあって、紛争でかねを儲ける輩があざ嗤っているようにも思える。

 米国は、尊い幾多の命を報復の口実にせず、争いの無い世界平和への礎として欲しい。

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