菅野秀浩のちょっといい話

第63話 成仏への道Ⅴ

成仏への道Ⅴ 挿絵

 真実の自身の心を知る「如実知自心」を体解し、「速疾」に成仏するには、「身・口・意」の三業を研ぎ澄まし、「三密」に浄化する努力をしなければならない。

 そこで身体と言葉と心の働きを、自らよい方向へ導くために、普段から心掛けて、更に十の善行を実践して、心身を堅く決定しなければならない。

 『十善』といわれ、身体をもって行う善行に「生きるものの命をうばわない。他の物を盗まない。異性を求める欲望を正し、淫らな情欲に耽らない。」、言葉の善行には「嘘をつかない。おべんちゃらや甘言などの飾り言葉を慎む。悪口を言わない。都合に合わせて二枚舌を使わない。」、こころでの善行に「自己中心的で貪らず吝嗇をしない。イライラしてむやみに怒ったり瞋ったりしない。物事を正視して、正しく理解する。」がある。

 このことは、行住坐臥日常の生活そのままで、日々の生き様の全ての働きが、どこまでで善行に極まるのか、結果も無く、難解で、延いては真実の自心を知ることにある。

 しかし、この難しそうな働きも、大日如来の働きそのもので、永遠不変の真理の本体であり、法身といわれる真仏だから、日常の生きざまの「身・口・意」の働きをより完成すること即ち、大日如来の身を変えた姿と確信すれば、「速疾」に成仏することになる。

 だからこそ「身・口・意」は、三密と成り得て「速疾」に成仏に至ると言える。

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