菅野秀浩のちょっといい話

第77話 密教の仏7 薬師如来Ⅰ

密教の仏7 薬師如来Ⅰ 挿絵

 薬師如来は、名前の通り人々の病気や苦悩を救済する仏で、原語の直訳は「薬・治療の医師」で、「薬師瑠璃光如来」「大医王仏」「医王善逝」とも呼ばれる。

 阿弥陀仏の西方浄土(来世の世界)に対し、「東方の瑠璃光浄土に住して、衆生の現世利益を司る仏」とされ、本来は釈迦如来の別称で、救済活動を具体的に表すため、衆生の苦悩を治療する、医師に変じて教化をなす。

 もと菩薩として修行にある時、十二の大願(後述)を誓われ、その行願の結願により、薬の蓋を開いて薬を与え、諸病を即疾に除くことを得たという。

 お姿は、右手を揚げ、左手は施無畏印(与願印)を結ぶ形のものや、右手を施無畏印にし、左手に薬の壷を持つのが一般的で、この形も釈迦如来と同様で、前述を肯定している。

 又、密教の経軌では脇侍仏として、日光・月光の両菩薩を左右に居して、十二神将(十二大願を十二時、十二月=十二支に護持する守護神)という。

  1. 宮毘羅(ぐぴら)=子
  2. 伐折羅(ばさら)=丑
  3. 迷企羅(めいきら)=寅
  4. 安底羅(あんちら)=卯
  5. 末儞羅(まにら)=辰
  6. 珊底羅(さんちら)=巳
  7. 因達羅(いんだら)=午
  8. 婆夷羅(ばいら)=未
  9. 摩虎羅(まこら)=申
  10. 真達羅(しんだら)=酉
  11. 招杜羅(しょうとら)=戌
  12. 毘羯羅(びから)=亥

を前後に従え、八万四千の夜叉が常に守護するとされる。

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