菅野秀浩のちょっといい話

第87話 密教の仏12 大日如来Ⅰ

密教の仏12 大日如来Ⅰ 挿絵

 大日如来は、真言密教の絶対本尊で、いわゆる仏陀(法身)である。梵名を摩訶毘盧遮那如来といい、遍照如来(大いなる智慧と光明であまねく世を照らし、救いたもう仏)と訳され、宇宙そのものというか、全てを抱合する真理を具現する教理を表し、仏菩薩の中心に在る最高本尊である、

 その発祥は、異なる二つの経典「大日経」と「金剛頂経」にその教理と働きが説かれ、それぞれの経を所依として、曼荼羅の中尊として「大日経=胎蔵大日」「金剛頂経=金剛界大日」の二つの姿に描かれ、胎蔵大日は法界定印(両の手の平を結跏趺坐の上で丸く組合わせ、親指の先同士を触れる)を結び慈悲を、金剛界大日は智挙印(両手の拳を右上左下に合わせ、左人差し指を立て右手で握りこむ)を結び智慧を表す。

 又、そのお姿は、如来でありながら菩薩の徳も備えるため、髷を結い上げ、宝冠を戴き、上腕や手首や胸には金環を巻き、金色に光り輝き、蓮台に座す、菩薩像を成す。

 密教辞典には、大日如来所依の大日経の解説書の大日経蔬には、「その智慧の光明は除暗遍明であり、昼夜・方処の別ある日の神とは比較にならない大光明が、遍く一切処に及び、慈悲の活動が活発で不滅永遠であるところから特に大を加えて〔大日〕と称する」と記され、更に「大日如来は、宇宙の実相を法身として捉えたもので、すべての諸仏諸菩薩はこの如来より出生し、すべての働きもこの如来の徳の顕現とされる」という。

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