菅野秀浩のちょっといい話

第88話 密教の仏12 大日如来Ⅱ

密教の仏12 大日如来Ⅱ 挿絵

 精霊去って既に壱拾三年、馨音絶えて茲に四千余日を重ねた十三回忌(満十二年)は、金剛界大日如来を本尊として修す。

 密教辞典に頼るので、難しくなって恐縮だが、金剛界大日如来は、密教の根本経典である「金剛頂経(金剛頂一切如来真実摂大乗現証大教王経)」を所依として発祥する。

 内容は釈尊(一切義成就菩薩)の質問に対して、大日如来が自ら仏(如来)であることを悟り、更に仏身(永遠の仏陀)として成就した修行方法の「五相成身観(ごそうじょうしんかん)=本尊の仏身を修行者の現実の身上に完成させると観じさせるための五つの密教の観行」を説き、実践させる経典である。

 即ち、密教の観行の最高の境地に、大日如来と共に釈尊も住して、あまた菩薩に説法を講じ、潅頂を授け、諸菩薩を実際に同じ境地の仏心に任せしむる。その諸菩薩の悟りへの境地を、順に九会の図画の展開によって示したものが金剛界曼荼羅である。

 金剛界大日如来は、「智の面の表現として、衆生の菩薩心と仏智の実相を示す」という。

 金剛界曼荼羅は、顕教の四智「大円鏡智・平等性智・妙観察知・成所作(じょうそ)智」に「法界体性智」を加えた五智(真言行者が菩薩心を興し、修行して、成就させて、体得した智 大日如来の智)を説く。

 精霊は、密教の永遠の仏陀である大日如来の「智慧」を得て、いよいよに成仏に向かって熟成し、完成されていきます。

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