菅野秀浩のちょっといい話

第93話 密教の色彩Ⅱ

密教の色彩Ⅱ 挿絵

 密教の真理の教えは、「大日如来」によって八十億の菩薩に説かれ、その教えを受けて展開する代表の仏が、金胎四仏(※括弧は胎蔵)で「阿閦如来(宝憧如来)、宝生如来(開敷華王如来)、阿彌陀如来(無量壽如来)、不空成就如来(天鼓雷音如来=釈迦)」である。

 金胎両部の四仏は、共に大日如来を「白」として頂き、順に「白、赤、黄、青、黒」、或いは「白、黄、赤、黒、青」の五色に真言密教の教義を顕して、様々な仏菩薩に関連し、影響し合いながら展開し、宇宙を凝縮した大原「理」と、大いなる生命を生き抜くための生活の「智」慧が二面に構成されて、二つが重なり合い、或いは不二(一体)となり、宇宙のあるがままを肯定し、極彩色の世界にあますことなく表現されて、つつみこむ。

 四仏は又、順に「東西南北」、「朝夕昼夜」、「春夏秋冬」、「少青壮老」の自然の変化と、現象の動いていく原理を説いて、宇宙の生命の動き「大いなる生命」の躍動を顕し、それぞれに「赤」は朝日の昇る様、「黄」は昼間の明るい太陽、「青」は夕方の空を、「黒」は太陽の沈んだ夜を顕し、修行の過程を説くという。

 真言宗の寺の本堂中心には、五色の糸(壇線)の張られた大壇が安置され、壇の中心と四隅に必ず、大日如来と四仏が鮮やかな五色の蓮花となって、荘厳されている。

 密教の「極彩色の世界」は、総てを肯定し、科学をものみこむ、自然色なのである。

◎参考資料(92〜93話)「両部曼荼羅入門・図録」吉本都観 著

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