菅野秀浩のちょっといい話

第94話 現代葬儀事情Ⅰ

現代葬儀事情Ⅰ 挿絵

 多分反論もあろうと思うが、葬儀についての事情を申し述べる。

 今世紀の半ばには、3人に1人は65才以上という。ということは、廻り中(私を含めて)年寄りだらけ、どんなに長生きしたって、極近にはみぃ〜んな彼方へ逝くわけで、葬祭業はここ何十年かは成長企業で、どんなに美辞麗句(保険の勧誘に似て)を重ねても、死という商品を扱う商売なのである。

 それが証拠に、今だに我が市では、投資に見合う確かな利益が計上できるからか、葬祭ホール(市営と併せて十ヶ所もあるのに)が新設されている。

 何宗にも対応する寺や、いいかげんな坊主(果たして経が読めるだけで坊主といえるのか?)が横行し、葬祭業者と組んで、まるで商品を扱うように、葬儀をこなしている。

 多分私のように、檀家や業者に対しても、自説は曲げないし、自分ではインフォムドコンセント(説明・理解・承諾)のつもりから、一々うるさく言う者は、頼んでも煩わしいだけで、嫌われるらしい。

 結局葬儀業者主導で日程は決まるし、要らぬ料理は残るし、大枚の経費はかかるしで、布施まで盗られたような気になるらしい。

 葬儀が終わっても、ほっとしている暇なく、関連の業者(仏具屋・石屋・香典返しの業者・墓地の斡旋)の電話やメールは頻繁で、お金で始まり終わるのが現代葬儀なのである。

 宗教は、消費者問題といわれる所以である。

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