長谷川正徳のちょっといい話

第57話 精神の峻厳さを忘れた若者たち

精神の峻厳さを忘れた若者たち 挿絵

 この頃、総理府が発表した「科学技術と社会に関する世論調査」によると、18才から29才までの青年で、易や占いの本を読んだことがある人の割合は78%にのぼっている。

 ところが、占いを「かなり当たると思う」のはわずか2%、ここに占いが絶対だと信じてはいけない姿が表れているが、見過ごすことのできないのは「ある程度は当たると思う」が41%で、年令の若い人ほどその割合が高いという点である。 またこれは別のNHKの調査であるが、「お守りやお札など、魔よけや縁起ものを身のまわりにおいている」と答えた若者は36.2%あって、その数は次第に増えつつあるとみられるというのである。

 いまひとつ、最近の若者の間に新オカルトブームなる現象が見られ、オカルト月刊雑誌の発行部数がぐんぐん増えているという。
こういう傾向というものは、ほんとうの宗教が盛んになるということとは全く違うのであって、一つの遊びのファッション風潮に過ぎないといわねばならない。

 若者にとって真に大事なことは、自分の心を厳しく鍛え、自身を変革する努力を通して、この現実の中で、希望と勇気をもって、積極的に生きていくというほんとうの宗教を人生観として持つことでなければならない。

 自己自身の全存在を賭けないで、安易に奇跡や特効薬を得られるオカルトや超能力を売りものにする疑似宗教に若者が凝るという風潮は決して健全なものとは申されない。

若者よ、格闘しながら真実を追求する精神の厳しさに生きよ。

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