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第26話  えんま大王縁起


お披露目の日を待つえんま様
お披露目の日を待つ
えんま様(原型)
   密蔵院前の歩道は幅2mもある。バス停もある(「バス停徒歩5歩」だ)。近くの赤信号ではお寺の前まで車の列がつながる。大勢の人が通るから、この地の利をいかさない手はない。でも、一般の人は境内になかなか入ってこない。それならいっそ、こちらから出ていこうと、塀の一部を壊して、歩道からしか拝めない迫力満点のえんま大王に姿を現してもらうことにした。

王を囲む溶岩には、以下の大王出現縁起の文がはめ込まれる。
    この王、人類史上初の死者なり。よってあの世の大王となる。他に九人の王たちを従え、死者を裁く権限を有する。私たちは死んでのち三十五日目には、この王の前に立ち、生前についた数々の嘘を調べられる。この場においても凝りもせず虚言すれば、ただちに舌を根こそぎ抜かれる。なぜ嘘が見抜けるかといえば、この王、死者の生前の善行悪行がもれなく記載されている「えんま帳」を持つがゆえである。嘘をついても屁とも思わず、否それをも正当化しようとする昨今の風潮にいたく立腹され、このたび憤怒の姿をこの地にあらわされた。心からの反省の念をもって王に水をかけ、願うべし。「どうか私のついた嘘を水に流してください」と。
   5月17日に手作り限定のフリマと合わせて開眼供養だ。

   次回は理想的人物、維摩さんの続きです。
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