菅野秀浩のちょっといい話

第67話 密教の仏2 釈迦如来Ⅰ

密教の仏2 釈迦如来Ⅰ 挿絵

 仏教をお開きになられたゴータマ・シッダールタ、釈迦牟尼(釈迦族出身の聖者)、又は釈尊、仏陀と尊称され、説かれた法が経典となり、御身も釈迦如来として祀られ、聖地や誕生日、成道の日、入滅日も礼拝される。

 始めは菩提樹や転法輪で象徴的に表現されたが、人間の姿で登場するのは紀元初年の後半で、東西文化の交流により、ギリシャ彫刻の技術や表現方法が伝えられ、ガンダーラやマトッラーに仏伝中の登場人物として立体化されて出現した。
その後、如来像として独立し、形式も完成され礼拝の対象になった。

 仏像は、インドにおいて転輪聖王(理想的な帝王)の特相を、如来像に転用したといわれる三十二相と八十種好(二次的特徴)を備える(曼荼羅に描かれても同じ)。

 幾つかを列挙すれば、頭上の肉髻(髷のような盛り上がり)、右旋の毛髪や体毛、眉間の白毫、白く輝く四十本の平らな歯ならび、手が長い、手足の指の水掻き、手足の輪のしるし、皮膚が金色で獅子のように威風堂々として何事にも恐れない等である。

 密教においては、「密号を寂静金剛。生身の釈尊とは異体で、大日経には変化法身と説かれ」衆生を教化する。
金剛界では「不空成就如来(すべての迷いや煩悩を断ち、悟りの境地で、一切を円満に成就する)」で現身し、胎蔵界では釈迦院の主尊で金色身で説法印(吉祥)を結び、或いは天鼓雷音仏(てんくらいおんぶつ)として北方に配される。

前の法話
菅野秀浩のちょっといい話 法話一覧に戻る
法話図書館トップに戻る