菅野秀浩のちょっといい話

第73話 密教の仏5 地蔵菩薩Ⅰ

密教の仏5 地蔵菩薩Ⅰ 挿絵

 地蔵菩薩ほど、伝来(奈良時代)以来、延命、子育てなど、様々に呼称され、社会や大衆に支えられ続けている仏はいまい。

 もともと菩薩なので菩薩界に住する仏であるが、釈尊入滅後、次の未来仏(弥勒菩薩)の成仏までの無仏の時(五十六億七千万年後…ちなみに釈尊滅後現在で約二千五百年)に声聞界に在って、迷えるものを(衆生)済度する役目があり、寺院の門前や町の辻々に剃髪の比丘(僧形)で、宝珠と鍚杖(錫杖)を持つ、可愛い姿を見かけると思う。

 また、六道能化地蔵願王菩薩と呼ばれて、衆生が生まれながらに備わった生活活動によって生死を繰り返す、迷いや苦しみの世界を六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)というが、それぞれの道に在って難儀する者を教化し救済する意で、「六地蔵尊」と呼ばれ、六対並んで建立されるのも常である。

 原名はクシティガルバで、「大地」を「蔵(胎)」するという義で、大地のような頑固な菩提心で、諸々の苦しみを受けても破壊されない、尽きることの無い徳を有すという。又、衆生に代わって苦しみを受ける「代受苦」の十二の誓いをもつという。

 密教では密号を、悲願金剛・悲愍金剛・与願金剛と称し、宝珠と幢、鍚杖を持つ。

 胎蔵曼荼羅に現される尊形は、体は肉色で、右手を挙げて日輪(宝珠、月輪)を持ち、左手は拳を腰に当て、蓮華(先端に宝幢幡がひるがえる)の茎を持ち、赤い蓮華座に坐す。

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