長谷川正徳のちょっといい話

第94話 敬老と彼岸

敬老と彼岸 挿絵

◎敬老の日 9月15日
 多年にわたり、社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。

◎秋分の日 9月23日
 祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。
(国民の祝日に関する法律より)

 現在の日本は21世紀に向けて、高齢者社会が急速に進展しています。終戦より38年、その当時の若人も早や老齢の域であり、この年に出生した人手さえも、今は社会の中堅をなしています。

 殊に戦前・戦中・戦後と、苦しい時代を生き抜いた先輩諸賢に、心からその労苦を犒い、長寿を祝うことは喜ばしいことです。

 しかし、又一面においてお互いに反省することもたくさんあります。「みのるほど頭の下がる稲穂かな」で、蒔かれた籾は稲となり、花咲かせ実をつける程に頭を垂れてまいりますが、人生60、70年と歳を重ねても角が取れず、他人様に頭を下げることも知らず、又、差上げられることもない人々がどれ程多いことでしょう。

 頭を下げることは、親子の中でも大変むずかしいことです。お大師様は明るい人生を過ごす為にも「子が親を親として敬い、親はその子を子として教誘する時、彼岸の家庭が社会が生まれる」と、さとされています。

 長寿を祝うと共に此岸に沈むことなく、人生日々彼岸の楽しい生活にいそしみましょう。

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