ちょっといい話

第109話 石橋の向う側

 石橋の向う側へ行きたい人にいくつかのパターンがある。

その1、石橋が丈夫かどうか棒で叩きながら注意深く渡る人。
⇒夜が明けてしまう。
その2、石橋の丈夫さを確かめるために、叩きすぎて石橋を壊してしまう人。
⇒用心もほどほどが良いことを学んだので次回は渡れるでしょう。
その3、石橋を叩いた結果、丈夫だと分かったのに、それでも危ないと疑って渡らない人。
⇒疑心暗鬼で何もできない。
その4、石橋を叩かないで渡りはじめ、案の定途中で橋が壊れて渡れない人。
⇒周囲から「だから言わんこっちゃない。ざまぁ見ろ」と侮蔑される。でも、恥じることはない。
その5、石橋を叩かないで渡ってしまう人。
⇒自分の力だけじゃありません。自分の努力が一割、橋を丈夫につくってくれた人などの他のおかげが9割ですよ。
挿し絵  思いつくままにあげただけで5つだ。もっとあるに違いない。他人に叩かせて、安全が確認されたら自分が先に渡るなんていうのもありそうだ。
 いずれにせよ、問題は石橋の向う側に何があるかということだ。プロジェクトXでとりあげられるような事業であったり、ホワイトデー間近の恋愛であったり、心やすらぐ悟りの境地だったりする。

 で、私は思うのだ――いい人(はなはだ抽象的でスミマセン)になろうとするならば、何の躊躇も要りません。自分の魂にとっていいと思うことは、ドンドンやってみればいい。
密蔵院の掲示板には先週までこんなことを書いて貼った。
『石橋の向う側へ行きたければ、行かなければならないのなら、叩かないで渡っちゃえ』

 さて次回は、蒲生小僧さんからのリクエスト“なぜ女の子は不良っぽい男の子が好きになるか”に反応して“そこのけ、そこのけ、個性が通る”でまいります。