ちょっといい話

第132話 丸ごとOK

挿し絵  ここに、自分の過去を否定し、現在の自分も否定している私がいる。
 私は、お寺になんか生まれた(過去を否定)から、友だちから「医者と坊主は丸儲けー」などといじめられるのだ(現在がイヤ)。
 私は天然パーマになんかで生まれた(過去を否定)から、みんなに「タワシ頭〜」なんて言われてしまうのだ(現在がイヤ)。

 そして、ここに自分の過去は否定しつつも、現在を肯定している私がいる。
 私は頼みもしないのにお寺になんか生まれた(過去を否定)けど、お坊さんにはならないで自分の好きなことをやっていくのだ。その自由はある筈なのだ(現在の自分にとりあえず満足)。
 私の髪は天然パーマでイヤだけど(過去を否定)、友だちはわざわざ高いお金を出してパーマをかけている。これなら天然パーマもまんざら悪くないかも……(他人と比べて現状を是認)。

 そんでもって、ここに、過去を肯定し、現在も肯定している私がいる。
 父の優勢遺伝で、私の髪は天然パーマ。おかげで、髪が固いので風で髪形もみだれることはなく、クシを持ち運ぶ手間もいらない。だいたいお寺に生まれたおかげでいろいろあったけど、お坊さんになれた。加えて髪を短くしているので、天然パーマも気にならない。

 今回は心理学を勉強しているお坊さんに聞いた、心のあり方の三つのパターンの話である。
 ○○だったせいで、こんなになってしまった。
 ○○だったけど、こんなになれた。
 ○○だったおかげで、こうなれた。
 多くの人がいう“そのままでいいですよ” “Let it be” “丸ごとOKだよ”とは、第三のパターンのことでしょう。なるべく早く気がつきたいなと思います。

 さて次回は、福岡県のミケさんから「ギャンブルで何か」というリクエストをいただいたので“Stay out of it”でいきます。何かをやめたい時の“○○するな!”よりも効果的な仏教的アプローチをご紹介します。