ちょっといい話

第134話 地球洗隊エコレンジャー

挿し絵  20代後半の3人の若者が、ゴー!ゴー!的ノリで、5月5日(ゴーゴーである)に北海道の稚内から歩きはじめた。向かう先は沖縄である。到着予定日は今年の大晦日だ。その彼らの持ち物はリヤカー(持てない……ので引くんですけどね)に積んだ寝袋などの当座の生活用品と、チラシである。

 チラシには、こうある

―――地球自足。北海道から沖縄まで歩きながらアルミ缶、プルタブをひろっていきます。集めたアルミ缶とプルタブは車椅子に変えて、支援がおくれているというミャンマーへ届けます―――

新手の新興宗教か、はたまた政治結社か、過激な環境保護団体か?

 いえいえ、そんなつもりは彼らにはありません。何とかしようぜ、この地球…そのために俺にできることは何だ?そんな思いだけで、リヤカーをひっぱって、道に落ちているアルミ缶を拾い、旅をつづけているのです。このように、自分の利益を考えずに、他の人のためや、環境のために、笑いながら実際に行動をおこしている人のことを、最近では最高の賛辞として「アホ」と言います。

 ……というわけで、アホな彼らの名前が地球洗隊エコレンジャー。今回、彼らが勝手に決めたアルミ缶拾いの任務を担当するのはレッド、ブラック、グリーンの3隊員。他にも文字通り色々なカラーの名前のエコレンジャーがいるらしいです。興味のある方は彼らのHP(→地球洗隊エコレンジャーHP)からネットサーフィン(死語?)してみるといいです。基本的には野宿しながら、とにかく歩く、歩く(時々走ったりもするらしいが、リヤカーを引いて2分以上走れるのは、元自衛隊のブラックだけなんだそうだ)。

 歩いている途中で、彼らのアホな目的に賛同した人たちが「よかったらうちに泊まっていきなよ」と言う人が、全国に、まあ、いること、いること。
 というわけで、ブラックとレッドが一泊、グリーンは10日間、密蔵院に逗留してくれました。

 旅をしながら自分の心を磨き、私利私欲を捨て、おのれ以外の物(者)のために、まず動いてみる……彼らの考え方と行動力に、仏教者の一つの理想の姿を見るのは、私だけではないでしょう。

 えーと、今回は彼らの紹介だけで終わってしまったので、次回は彼らとのエピソードをまじえながら、仏教的行動の原動力を“「動けば変わる」の土台”と題してキーボードを叩いてまいります。お題をくださっている方、もう少々お待ちくださいませ。