菅野秀浩のちょっといい話

第39話 今を生きるⅡ

今を生きるⅡ 挿絵

 戦後の生活環境と所得の向上は、個々に持ち家に住むという願望を実現し、大家族から核家族へという社会現象が生まれ、家族がこれまた個々に部屋を持つという文化に発展し、間取りに合わせたのか、少子化という現実が起こった。
それに伴い、子供達は生まれた瞬間から、私室を持ち、他に犯されない自分だけの空間を所有する、恵まれた環境に育つ。

 この高い文化の状況は、偏に様々な発展のお陰だが、冷静に視すると、このことによる社会問題や弊害も提起され、時代が進むにつれて、重大で看過できない事象の、起因となっていることに気が付く。

 青少年の今様も、彼らの文化観やトレンド(傾向)も、この辺の視点から俯瞰してみると、やはり起因は同じで見逃せない。

 独りで育つ環境は、極めて快適である。

 自分の周りを囲む空間は、他に気兼ねは要らないし、鍵も掛かる。好きな時に何でもできるし、嫌いなことはする必要もない。

 他を意識しない長い時間は個を育み、個人主義なら救われるが、利己主義が培養される。

 しかし一度、学校の共同生活を強いられると、独りの才覚では共生もできない。

 仕方なく力ある者は腕力で自分(利己)の空間に従わせ、弱い者も群れて仲間意識をことさら強制して徒党を組む。

 仲間外れの者は、悪質で悲惨な苛めに遇う。

 この理屈当たっていると思う。

前の法話
菅野秀浩のちょっといい話 法話一覧に戻る
法話図書館トップに戻る