菅野秀浩のちょっといい話

第84話 密教の仏10 阿弥陀如来Ⅱ

密教の仏10 阿弥陀如来Ⅱ 挿絵

 阿弥陀如来は、三回忌(亡くなった年を入れて数える。満二年)の本尊である。

 全ての仏教徒なら等しく願う、極楽浄土へ成仏する日である。過ぎる月日は早く、月を重ねて二十四回、日を積んで七百余日、花を手向け香を焚いても、精霊は還らないし、過日は遠くなっても、別離の悲しみは、綿々として昨日のようである。

 そこで精霊には、最も縁の深かった極楽浄土の教主である阿弥陀仏のお導きにより、四十八の誓願を興して、修行や徳業の浅深により三種に類別されるという機根(きこん=能力や性質)に乗じて、浄土へ赴き、過去世において知らずに犯した諸々の罪科を、一心に「南無阿弥陀仏」を称名することや、真言を誦することによって滅して頂きたい。

 そうすれば、真言行者として心から目覚めて修行し、大日如来の智慧(全ての衆生の悩みや疑念を絶って、その願いを全て聞きとどける)を体得し、極楽浄土の輝く五色の蓮の花台に乗り、本性から清らかであることを確信し、必ず成仏を遂げるであろう。

 因みに浄土とは、仏菩薩が住む清淨な国土で、仏界・仏国・淨界等と同義で、仏によって住む場所も異なり、阿弥陀仏は西方に住し極楽浄土といい、東方には薬師如来の淨瑠璃浄土や、弥勒菩薩の兜卒天が在り、大日如来は十方如来の浄土を含有する密厳仏国に住す。

 密号は、清淨・大慈金剛。別称を観自在王仏(妙観することが自在)・甘露王如来。

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