開設から15年――公式ホームページの先にある、人とお寺とのつながり。
お客様:曹洞宗 久松山 長福寺様
※本記事に掲載の年数は、2026年取材当時のものです。
長福寺様は2011年に、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム=専門知識がなくてもウェブページの追加や更新ができるシステム)を導入し、お寺の公式ホームページを開設されました。当時は、お寺がCMSを利用して情報発信を行う例はまだ多くなく、先進的な取り組みでした。
以来、長きにわたりお寺の日常や行事、ご住職のブログなどを継続的に発信されてきました。
2023年にはホームページの安全性、利便性向上のための大規模リニューアルをされ、新たなコンテンツや、法要情報を送信できるシステムも導入されました。
本日は長福寺様に、ホームページ開設の経緯から、長年の運営の中で感じたホームページの役割について、お話を伺いました。

公式ホームページ開設のきっかけについてお聞かせください。
開設当時は、お寺の公式ホームページを持つことについてどのように感じていましたか?
長福寺様:公式ホームページを開設しようと考えたきっかけは、身近な方々から「ホームページを拝見したい」「アクセス方法が知りたい」といった声をいただくようになったことでした。
当時、何かを調べる時にネットを利用することが一般的になり始めた頃で、お寺でも「電話で問い合わせる前にホームページを見る」という時代に入っていることを痛切に感じていました。 公式ホームページの開設前は、お寺からの情報発信はお知らせを郵送したり電話での対応がメインでしたが、電話するほどではないものの、お寺について知りたいと思われる方もいるのではないかと。そこで、当山を知っていただくきっかけになればと思い、公式ホームページを開設することにしました。
CMSを導入し、ご自身で日々更新していこうと思われた背景は何でしょうか?
長福寺様:行事やイベントの開催情報など、お寺からの情報発信は生き物みたいなもので、リアルタイムにやっていかなければいけないと常々思っていました。その時々の最新情報を発信できるようにCMSを導入しました。
公式ホームページを開設した前と後で、お寺、お檀家さんや参拝者の方にどのような変化・反響がありましたか?
長福寺様:お寺と関わる方は、以前はお檀家さんのご家庭の中でもおじいちゃんおばあちゃんなどご高齢の方が中心でしたが、公式ホームページを通じて、娘さん息子さん、お孫さんといったネットを活用される世代にも当山の情報を見てもらえるようになりました。
それもあってか、施食会やお彼岸などのお寺の行事にも若い世代の方が関わられる機会が増えたと感じています。
ブログ記事や行事案内を熱心に読んでくださる方もいて、「お寺ではこんなこともやっているんですね」と言っていただくこともあります。 坐禅会などの行事にも、若い世代の方に集まっていただけるようになりました。
公式ホームぺージのリニューアルについてお聞かせください。
新たに追加した「七五三」「初参り」「水子供養」ページへの反響はいかがでしょうか?
長福寺様:「七五三」「初参り」については、想像以上の反響がありました。
特に秋の七五三シーズンには多くのお申込みをいただき、土日には結構な数のご祈祷を行うこともあります。ご祈祷そのものは長時間ではないのですが、同じ日にご法要もはいっていることが多く、やりくりが大変な時も。
水子供養については、境内には古くから水子地蔵様がありましたので「知る人ぞ知る」という存在でした。 静かにお参りしたい方もいらっしゃるので悩みましたが、ホームページでご案内することで必要とされる方に情報を届けられていると思います。
「七五三」「初参り」などに申し込まれる方はこれまで長福寺様とあまり接点が無かった層の方が多いと思いますが、そういった方々との接点ができたことで、お寺にどのような変化がありましたか?
長福寺様:これまで接点のなかった方々とご縁ができたことは、とても大きかったです。お孫さんのご祈祷をきっかけに来山されたご年配の方から、お墓や永代供養墓のご相談を受けることが増えました。
この地に引っ越して来られたばかりの方や、これまで菩提寺とのご縁がなかった方も多いので、この地域はこんなところですよとか、地域の氏神様を祀られる神社も近くにありますからそこでもお参りできますよとか、そういったお話をさせていただくことも多いです。知らない土地で不安もあるでしょうし、お寺がそういった相談、アドバイスもできるところなんだと知ってもらえれば。
法要に来られる方は礼服の方が多いのですが、そこに七五三や初参りで晴れ着を着た子どもたちがいると境内が華やいでいいですね。
ご祈祷の方たちにはご本堂の正面から直接あがって頂きますが、本堂が高い所にあるので、そこを袴や晴れ着を着た子たちがパパママと手をつないで一生懸命登ってくるんです。境内に若い元気な声がこだまして、お寺としても活気づきますよね。
法要にいらしたお檀家さんがその様子を見て「ご祈祷もしているのね」「七五三参りもできるのね」と気付かれることも増えています。
お寺は「亡くなったら行く所」「お墓参りの場所」という認識が強いですが、それだけじゃなくて七五三や初参りなど人生の節目をお祝いする場でもあるので、お寺は一生お付き合いできるところなんだというふうに周知されるいい機会になっていると思います。
リニューアルでは、お寺で法要を行う際に必要な「法要や卒塔婆の詳細」をオンラインで送信するシステムも導入しました。実際の使い勝手や、ご利用された方の反応はいかがでしたか?
長福寺様:法要の申込書や各種案内をホームページから確認できるようになったことで、遠方にお住まいの方や、お仕事などで忙しい方のお手間は減っていると思います。
法要や卒塔婆のお申込みも、システムを利用される方が徐々に増えてきて、2~3割の方がご利用されています。
特に遠方の方は申込書を出すためだけに何度も来山する必要がなくなるのでいいかなと思います。
当山としては、お寺の効率化のためではなく、あくまでもお檀家さんの利便性を考えたツールの一つとして導入しました。なのでシステムで送信された場合も必ずこちらからご連絡してフォローするようにしています。
「お分かりにならないことはありませんか?」
「お時間取れたらぜひお寺にいらしてください。全然構いませんから」とお声がけしています。
お寺としては常々、お檀家の皆さんと膝を交えてお話したいと考えています。メールやホームページでのやりとりは便利ですが、それだけで完結してしまうのは違うんじゃないかと。
法要の準備やご相談の中で、どうして卒塔婆が必要なのか、四十九日や百か日のご供養にはどんな意味があるのかなど、実際にお話ししてお伝えしたいこともあります。
システムを活用しながらも、お寺と皆様とのつながりが希薄になってしまわないようにしたいです。
坐禅会や除夜の鐘などお寺の行事について、参加者数や年齢層に変化はありましたか?
長福寺様:坐禅会は参加者が増えていて、5~6人だったのが今は15~20人ほど参加されています。
ホームページを通じて情報を見つけられる方が多いようで、近隣だけでなく少し離れた地域から参加される方もいます。
夏休みや冬休みは学生さんの参加が多く、年齢層も広がっています。
ホームページやブログを通じた情報発信を長年されてきて、お寺の雰囲気や考え方が参拝者の方に伝わっていると感じる場面はありましたか?
長福寺様:ホームページやブログで、お寺の考え方や雰囲気はある程度伝わっていると思います。
実際に「ホームページで色々拝見して、ぜひお世話になりたいと思った」や「ブログを読んで、絶対ここがいいと感じた」と言ってお寺に来てくださる方もいて、その後お檀家さんになられたりしてご縁が続いています。
ブログの書き方については試行錯誤してきて、今も悩むところはたくさんあります。
以前、文章量の多い記事に「内容が多い」「難しい」といった意見もあり、より簡潔に伝わりやすいような書き方を心がけるようになりました。
要は「このお寺に行ってみたい」と思っていただくきっかけになるのが大事なのかなと思います。
最後に、ホームページを長年運営されてきた長福寺様にとって、公式ホームページはどのような存在になっていますか?
長福寺様:公式ホームページは、お寺を皆様に知っていただくための大切なツールだと思います。
ホームページを通じて当山のことを知っていただき、実際に足を運んでいただく。そして、お話をする中でご縁が生まれていきます。
多くの方に仏教やお寺との接点を持っていただき、一人でも仏教に触れて救われる人が増えればいいなと――そのきっかけをつくるのが当山のホームページであってほしいと思っています。
――今回のお話で大変印象的だったのは、長福寺様がホームページを活用されながらも、人とお寺とのつながりを何より大切にされていることでした。ホームページはお寺を知っていただくための入口の一つ。それだけで完結するものではなく、実際にお寺に足を運んでいただきお話をする中でご縁が生まれていく――。そのようなお考えが、お話の随所から伝わってきました。
長福寺様、本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。
