ちょっといい話

第162話 これじゃタマシイがかわいそう

挿し絵 さて、今回は霊感商法の核心について書きます。一人でも多くの人が、恐喝詐欺の犠牲にならずに、しっかりと自分におこることを受け止めていただければ幸いです(今回初めて読む方は、まず、第159話「草葉の陰」第161話「恐怖霊から祖霊へ」まで簡単にお読みください)。

 さて、ここに[結果]があります。結果が出るためには、原因があり、その間に縁がまとわりつきます。つまり、原因+(縁+縁+縁+縁+縁+……)=結果です。これを「そんなことはない」と言う人はいないでしょう。宇宙を貫く大法則です。そして、結果が元(原因)になって、色々な縁が集まって再び次なる結果が出てきます。

お腹がすいた(原因)→ご飯を食べた(縁)→トイレに行った(結果)。
トイレに行った(原因)→使用中だった(縁)→我慢して気分が悪くなった(結果)。

 たとえが下品でゴメンナサイ……。 でも一番身近かな例ですから。
言いかえると私たちは、いつも何かの結果の真っ只中を生きています。パソコンをつけた(原因)→「ちょっといい話」をクリックした(縁)→今これを読んでる(結果)ということです。

 霊感商法の手口は、この目の前の結果を、自分のご都合通りではない、不幸なこと、禍(わざわい)だと感じる私たちの心に付け込むのです。
誰だって、不安や痛み、苦しみを持っています。家族のこと、健康のこと、仕事のこと……その不安や苦しみをおこさせているのが死んだ人のタマシイなのだと脅かします。悪徳霊感商法が新聞に入れるチラシの「霊のさわりとして現れる症状や現象」を見たことありますか?普通の人なら笑ってしまうようなことが書かれています。

受験の失敗・夜更かし・家庭不和・家庭内暴力・離婚・遺産相続争い……
肩凝り・頭痛・関節炎・糖尿病・便秘・花粉症・ハゲ・癌・リューマチ……
リストラ・交通事故・倒産・社内の人間関係のトラブル……

 誰だって、かならず一つや二つは思いあたります。しかし、多くの人は、それほど差し迫った問題として考えていないし、“どこにでもあることだ”と考えることができます。しかし、私たちは、今抱えている不安や悩みという眼前の[結果]が導きだされたもともとの[原因]を知ろうとします。辻褄合わせがしたくてならないのです。そうしないと安心できないのです。

――世の中には良くある交通事故だが、どうしてそれが私に起こるのだ?他の車と一緒に流れにのって運転していたのに、どうして私だけスピード違反になるのだ?どうして、他の人ではなく、私が癌になったのだ?

 これを、霊感商法という金儲け集団は、霊の仕業(しわざ)だというのです。霊のせいにすれば、辻褄が合います。“そうか、やはり私の責任ではなかった。霊のせいなのか”
これじゃ霊が可哀相ですよ。―――この続きは来週“霊感商法の手口”でいきます。
被害者を出さないためにも、独り暮らしのお年寄りがいたら、プリントして差し上げてください。